出典:Mathieu Cheviron / flickr
ククサ(kuksa)は幸せのカップ!本物のお手入れ法や自作方法も紹介
使う人の幸せを願いながらひとつひとつ手作りされた「ククサ(kuksa)」、贈られた人は幸せになると北欧で言い伝えられているカップです。日本でも結婚や出産の贈り物、アウトドアやインテリアの小物にククサを選ぶ方が増えています。ククサの魅力やお手入れ方法、自作のククサができる手作りキット等のおすすめをご紹介!さらに偽物も多いククサの本物の見分け方、ククサで飲むと「まずい!?」そんな謎にも迫ります。
幸せへの願いを込めるカップ「ククサ(kuksa)」とは?
ククサ(Kukusa)はスカンジナビア半島北部ラップランドの先住民族、サーミ人に伝わる伝統的なマグカップです。使う人の幸せを願いながら作られるククサ、まずはその素材や作られる工程について紹介していきます。
ククサの原材料は「白樺のコブ」
ククサは「バハカ」と呼ばれる白樺のコブをくり抜いて作られます。採取されるコブの大きさはさまざまですが、直径50〜60cmほどの半球状のかたまりが多く、十分な大きさに育つのに30〜40年、小さな物でも10〜15年はかかります。
コブを採取するために白樺を切り倒すことはなく、計画的に伐採されている白樺の樹木にコブがあれば採取できるという方法なので、バハカはとても貴重な材料なのです。バハカから作られた本物のククサにはオーロラと言われる光沢が表れるものもあり、森から生まれた宝石と言われるほど美しく神秘的です。
完成までに時間を要する貴重なククサ
切り落とされたコブは−2〜3度の環境で5カ月ほど保管され、その後ブロック状に切り出されて−20度で24時間冷凍保存されます。そして海水と同じ濃度の塩水で24時間炊き込み、木材の中に塩水を浸透させることで割れにくく強度の高い材質に。この木材1週間以上乾燥させ、ようやく削っていく作業へと入ります。
ククサは貴重な自然界の原材料を使い、完成までに長い年月をかけて作られた特別なカップ。木目の出方や色、オーロラの有無等一つ一つその仕上がりも違う、木のぬくもりや愛着を感じることができる自分だけの愛用品となっていきます。
ククサ(kuksa)の魅力
ククサ(kuksa)にまつわる言い伝えや使い方など、ククサの魅力について紹介します。
経年変化が楽しめる
ククサの大きな魅力は、白樺のコブの質感やぬくもりを感じられるナチュラルなデザインです。また木の魅力を存分に活かし使っていくうちに変化していく木目の色ツヤを楽しめる点は、ククサを育てていく感覚に似ています。ぜひ大切にお手入れをしながら、ククサの経年変化も楽しみましょう。
幸せの象徴!ククサはギフトにもおすすめ
使う人の幸せを願いながら一つ一つを丁寧に手作りされたククサは、贈られた人が幸せになると言い伝えられており、北欧フィンランドでは大切な人に必ずプレゼントすると言われています。日本でも出産祝いや結婚祝いのプレゼントとしてククサを選ぶ方も増えており、アウトドア好きな方へのギフトにも最適です。
自然に馴染むククサはアウトドアにも最適
ククサは普段使いはもちろん、キャンプやピクニックなどのアウトドアとも相性抜群です。天然素材のククサの木目や素朴な雰囲気は自然にも溶け込み、コーヒータイムをククサにするだけで木の温もりが感じられ贅沢な時間に。カップも軽く、サックにぶら下げて持つのもおしゃれで手軽に持ち歩くことができます。
食卓を彩る小皿としても使える
ククサは口当たりがよく、熱い飲み物を飲む時にも熱が伝わりにくくおすすめですが、飲み物を飲む以外にもお菓子やおつまみを入れるなど、テーブルに映える小皿としても活用できます。またインテリアとして小物入れやつるして飾りにしたりと、使用していないときにも部屋の雰囲気に温かみを与えてくれます。
おすすめのククサ
ククサはメーカーによってデザインや大きさも異なります。それぞれ特徴の違うおすすめのククサを紹介していきます。
『飛騨職人生活 ククサ(飛騨の天然木マグカップ)』
アウトドアメーカーの「モンベル」のオンラインショップで販売されているククサ。こちらはモンベルブランドの商品ではなく「モンベル・フレンドマーケット」で
モンベルフレンドショップから出品されている商品です。
飛騨で育った天然無垢の木を使って作られたカップは一つ一つ職人の手作り。バランスやこだわりのデザインが美しくギフトにもおすすめです。
公式:
モンベル(フレンドマーケット) ククサ【基本情報】
容量:200cc
素材:ブナ材
生産地:飛騨
自作のククサに挑戦
幸せの願いを込めるククサ、手作りをすればさらに気持ちのこもったカップができ上がります。本物のククサは白樺のコブを使って作られていますが、入手するのは困難。自分で手作りするときには加工もしやすく、カップとしての耐久性も考慮しヒノキや桜、カツラ等を使用するのがおすすめです。
おすすめ手作りキット
手作りキットは好きな時にすぐ始められ、手軽にククサ作りが楽しめます。キャンプ中に焚き火を囲みながら子どもや仲間と、またソロキャンプの贅沢な暇つぶしにも最高の思い出作りになりおすすめです。
ワークショップに参加
手作りに挑戦してみたいけれど、いきなり自分一人でというのも不安。そんな時にアドバイスをもらいながら、また一緒に作る仲間がいたりと、楽しみながらククサが作れるワークショップに参加するのはおすすめです。旅先等で参加するのも良い思い出になります。
『ソグベルグ』
北欧時間が流れる森と湖、
メッツァビレッジ内にある「ソグベルグ」で体験できるククサ作り。こちらは名栗カヌー工房というNPO法人が提供する工房で、カヌー体験や木材を使ったワークショップを開催しています。メッツァビレッジの景観を楽しみながらのククサ作り体験は、
フィンランドの雰囲気を存分に満喫できます。
【施設情報】
住所(メッツァビレッジ):357-0001 埼玉県飯能市宮沢327-6
ソグベルグ営業時間:10:00〜17:00
ソグベルグ電話番号:080-7269-1496
公式ページ:
メッツァビレッジ内「ソグベルグ」
公式Instagram:
名栗カヌー 『kiond』
日本最大級の商業施設
VISON(ヴィソン)内にある木と森をテーマにした体験施設「kiond」でククサが作れるワークショップ。加工されたキットを削って作り上げるククサは、
子どもから大人まで楽しめるプログラムになっています。枠に限りがあるため、Webサイトからの事前申し込みが安心です。
【基本情報】
所要時間:2時間
対象年齢:6歳〜(12歳未満は保護者同伴)
料金:8,000円(税込)/1名
【施設情報】
住所:三重県多気郡多気町ヴィソン672-1木育
kiond営業時間:10:00〜20:00
kiond電話番号:0598-67-4291
公式ページ:
VISON内「kiond」 『森の京都』
実際に森に入って
木の伐採や製材所での加工見学をした後に、ククサ作り体験をするコース。林業の学びや森の中でのリラックス効果も感じられ、まさに
大人の遠足が楽しめます。ククサは約8割程出来上がったククサの残り2割を自分で削って仕上げていきます。
【基本情報】
所要時間:6時間
料金:6,500円
【予約・問い合わせ施設情報】
施設名:森の京都DMO(一般社団法人 森の京都地域振興者)
住所:〒621-0804 京都府亀岡市追分町谷筋25番地30
営業時間:平日9:00〜17:00(土日祝休業)
電話番号:0771-22-9800
公式ページ:
森の京都
【体験施設】
施設名:伊東木材株式会社
住所:京都府福知山市字立原8-2
DIY上級者は自分で切り出す
DIY上級者の中には
自分で木材を削って、ククサを自作する方も。材料選びからデザインまで
完全オリジナルのククサを作ることができ、ギフトでも自分用でも忘れられない一品になりそうですね。木材からククサを作る方法を簡単に紹介します。
【ククサの作り方】
※自作する時は、オノやノコギリやナイフの扱いには十分に注意してください。
- 木材に輪郭線を描いて大まかに削りだす
- 角を取り輪郭を滑らかにしていく
- 持ち手部分の穴を開ける
- ヤスリで研磨する
- 沸騰した塩水でククサを煮る
- 乾燥したらオイルでコーティングする
愛着が増す「ククサのお手入れ」
ククサはお手入れ時間も楽しむのが醍醐味のひとつ。ひと手間かけてあげるだけで風合いが増し、自分だけのククサに仕上がっていきます。長く愛用していくためにも大切なお手入れ時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
洗剤は使わずに洗う
ククサは基本的に洗剤は使わず、柔らかい布やスポンジを使ってさっと洗いぬるま湯で流すようにしましょう。どうしても汚れが目立つときのみ洗剤を使う程度ですので、ふだんのお手入れはとても簡単です。
使用後はしっかり乾燥
洗った後は「しっかり乾燥」、洗い時間は短く乾燥に時間をかけるのが大切です。直接日の当たらない風通しの良い場所を選びましょう。水気を拭き取ったククサはキッチンなどにつるしておくだけでもおしゃれなインテリアになりますので、乾燥させることも兼ねてしまわずに出しておくのもおすすめです。
オイルを刷り込む「合図」
使っていくうちにククサ表面の油分が落ちてきて、白樺のまっ白い木肌が目立つようになってきたらオイルを使ってお手入れをしましょう。オイルでのお手入れを怠ると油分を失いカビやひび割れの原因となります。2つのお手入れ法を紹介しますので自分にあった方法でしっかりお手入れして、丈夫に長持ちさせましょう。
『生くるみを使ったお手入れ』
生くるみから出た油分を使ってお手入れする
伝統的なお手入れ方法を紹介します。
【用意するもの】
- 生くるみ(加工した素焼きくるみ等ではなく生のもの)
- ガーゼ(ない場合はキッチンペーパーでも代用可)
【お手入れ方法】
- くるみを1粒ガーゼに包み、軽く叩いてつぶし、くるみの中の油分をガーゼに染み込ませる
- 染み込んだ油分を木目に沿って刷り込む(油分が足りない場合は再度くるみをつぶして調節)
- 全体につやが出たら、染み込まなかった余分な油分を拭き取る
『植物油を使ったお手入れ』
植物油を使った手軽なお手入れ法の紹介です。ククサのお手入れには
乾性油と言われる油の乾きが早い植物油「くるみ(ウォルナット)油」「グレープシードオイル」「えごま油」「アマニ油」や「蜜蝋」を使用します。
特にくるみ油とグレープシードオイルは香りも気にならずおすすめです。
手軽に手に入る
サラダ油やオリーブオイルは油の乾きが遅く、カビ等の原因にもなりますので使用しないようにしましょう。
【用意するもの】
【お手入れ方法】
- オイルを布に少量染み込ませる(出しすぎに注意)
- 木目に沿って優しくぬりこむ
- 全体につやが出たら、染み込まなかった余分な油分を拭き取る
ククサの気になる所&注意点
ククサはアウトドア、ギフト、インテリアにとさまざまなシーンで選ばれている人気商品のため、気になる噂や偽物も出回っています。本物のククサを長く楽しむため、購入前に知っておきたい点を確認しておきましょう。
ククサで飲むと「まずい!?」
ククサを割れにくくその強度を高めるため、製造工程で木材に塩水を浸透させています。そのためカップの使い始めは飲み物に味が移り「まずい」「しょっぱい」と感じることもあるようです。しかし無理に塩抜きしたりするとひび割れ等の原因にも。徐々に薄れていくものなので安心して使い続けましょう。
「本物」のククサの見分け方
ククサとして売られているものの中には、
安価な木材で作られているものや大量生産品が混じっていることもあります。本物のククサを手に入れるには、その見分け方をおさえておきましょう。
本物のククサを見分けるポイント
販売ページや商品に北欧のブランド名が明記されているか(「フィンランド」「白樺」等のワード)
価格が安すぎないか
木目の出方や模様は一つ一つちがうか
商品ページに「職人の手作り」である旨が明記されているか
他にはない自分だけのククサの魅力を味わおう
「贈った人の幸せを願う」素敵な言い伝えのあるククサは、手にした後も大切にケアをして自分だけのカップへと育てていく、まさに一生モノ。使うときはもちろん、使った後のお手入れも楽しみ、贅沢な時間を味わえるククサはプレゼントにもおすすめです。ぜひ自分だけの大切なククサに出会い、その魅力を味わいましょう。