雪中キャンプの楽しさを最大限に引き出すアイデア集!アツアツ鍋や燗酒、薪ストーブを活用
冬キャンプが寒さとの戦いなのは言わずもがな。ついつい「寒くて辛くないように…」と不安を解消するための準備に集中しがちですが、発想を少し転換させて「寒さを楽しむ」方法を考えるほうが、事前準備もキャンプ当日も楽しく過ごせます。アツアツの鍋をつついたり、薪ストーブで温まりながら燗酒を味わったり…。冬しか味わえないキャンプの醍醐味を、キャンパー兼日本酒ソムリエの雪中キャンプに密着して教わりました。
寒さを活かした楽しみ方を見つけよう
極寒のフィールドにテントを張って過ごすのは、他のシーズンとは違い、寒さへのきちんとした備えが必要です。しかし、焚き火の暖かさを感じたり、澄んだ空気の中で満天の星を浴びたりと、真冬にしか味わえない魅力があるのも事実。
ならば、寒さをストレスではなく「楽しみ」に変える方法を考えた方がワクワクしませんか?
生粋のアウトドアマン、日本酒ソムリエ田代智也さんの冬キャンプに密着!
どれだけよいアイデアでも、実践できないものだと意味がありません。そこで、毎年冬キャンプを楽しんでいる田代智也さんに、冬キャンプを快適に楽しむための秘訣を教えてもらいました。
日本酒ソムリエ 田代智也さん
キャンパーで日本酒ソムリエ。休みの日は山に登るハイカーでもある。下山後は、温泉とサウナが定番。アウトドア好き日本酒ソムリエ(日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA)・茨城県認定いばらき地酒ソムリエなど多数の資格・肩書きを持つ。
まずは設営を済ませて「暖」をとる
冬キャンプ成功の秘訣は、寒さからどれだけ身を守れるかどうか。現地に着いたら、スムーズな設営がカギです。
田代さんの愛用テントはtent-Mark DESIGNS(テンマクデザイン) 「サーカスTC DX ダックグリーン」
田代さんが冬に愛用しているテントは、設営が簡単なティピー型で、テント内の暖気を逃さず、外からの冷気が入りにくいスカートつきタイプ。さらに、テント内外の気温差でできる結露をなるべく少なくしてくれて、結露ができても乾きやすい綿混紡素材のものを選んでいます。
テント内にはグランドシートは引かずにコットを設置。寝るとき以外は靴を履いたまま過ごすスタイルにすることで、靴の脱ぎ履きの手間をなくしつつ、足からの熱を余分に逃がさず暖かく過ごせます。
寝るときは、コットの下に荷物を置いて底冷え対策。地面とコットの間の空間を埋めることで、地面からの冷気が上がってくるのを軽減しています。コットの上にはマットを、寝袋の中にはブランケットをセット。寝袋にはシュラフカバーを掛けておけば、結露によって濡れずに済み、冷たい思いをすることもありません。
田代さんが愛用するTHE IRON FIELD GEARの「TAKI BE CAN(タキビーキャン)」。内部が見えるタイプなので薪が燃え上がる姿を見て楽しめるのがお気に入り
天候がすぐれない時は、テント内で過ごす「おこもりスタイル」をする田代さんですが、天気が良い日には、テントの入り口付近に薪ストーブを設置。外で暖をとる楽しさも満喫しています。
撮影日(12月上旬)の天気は穏やかな晴れであったものの、日中の外気温は7度前後。ジッとしていると寒さでしんしんと体が冷える気温ですが、薪ストーブのまわりにいれば寒さを忘れてポカポカ過ごせました。
薪ストーブは、薪をくべるのも楽しみの一つ。焚き火いじりと同様の喜びがあります。内部が見えるタイプを選べば、薪が燃え上がる姿を見ながら過ごせるのでおすすめ。
チェア×難燃ブランケット2枚使いの組み合わせ。薪ストーブを楽しむ時は、いつもこのスタイルが定番
薪ストーブの近くで過ごす際は、難燃性のブランケットで身体をサンド。ずっと座っていると意外と背中とお尻が冷えるので、背面までしっかりと防寒対策をします。
定番にして最強の「鍋×日本酒」で温まる至福のごはん時間
暖を取り、落ち着いたところで欲しくなってくるのは、身体の奥から温まるキャンプ飯。日本酒ソムリエの顔をもつ田代さんのイチ押しは、アツアツの鍋をつつきながらの日本酒飲みです。
簡単に調理できて、身体の中から温まる鍋は冬キャンプの定番にして最強メニュー!
田代さんの定番は、長時間火にかけても濃い味になりにくい、あっさり出汁の鍋。一緒に飲むお酒には、炊き立てのお米のようなうまみと香りを感じられる純米酒を合わせています。
田代さんお気に入りの「沢の鶴 米だけの酒」。純米酒の中でも、うまみと甘み、酸味のバランスがそろった、どんな料理にもあう万能酒。高温にしても味が崩れず、幅広い飲み方にも対応できるので、迷ったらこれ一本持って行けば間違いありません!
おすすめの飲み方は、はじめは「冷や(常温)」で酸味と甘みを味わい、その後は40℃近辺に温めた「ぬる燗」、さらに温度を上げた「熱燗」にしてお米のうまみや香りを楽しむ方法。お酒の種類を変えなくても、温度帯を変えることで、味変が楽しめるのは魅力的です。
あえての冷酒で変化をつける!
ただでさえ寒い冬のキャンプ。冷たいお酒は想像がつかないかもしれませんが、薪ストーブと鍋で火照った体を程よく冷ましてくれる「冷酒」はアリな選択肢。
田代さんが用意してくれたのは、ちょっと冷酒を飲みたい時にぴったりな180mlサイズの「沢の鶴 SHUSHU Light」。雪で冷やしておく、というのは雪中キャンプならではのお楽しみ
ビールや缶酎ハイの喉越しも刺激的でいいものですが、開けたら最後、炭酸が抜ける前に飲み切る必要があります。その点、冷酒であれば、欲しい分だけ注げばOK。スッと身体に染みわたるような優しい飲み口も、しっぽりとした雰囲気の冬キャンプによく似合います。
冷酒用に用意するなら、片手で持てる飲みきりサイズがおすすめ。飲み切りサイズなら場所もとらないうえに、そのままクーラーボックスや雪に突っ込んでおけば、すぐ冷えるのでかなり便利です。
冬の味わい「ヒレ酒」でちょっとぜいたくに。体の芯からあったまる!
ここからは、日本酒ソムリエらしさを全開にした、日本酒を味わい尽くす粋な温まり方を2つご紹介。1つ目は、網でこんがり炙ったフグのヒレを、温めた日本酒に浸していただくヒレ酒です。
フグヒレは生臭さが消えるまで少し焦げ気味に炙るのがおいしくいただくコツ
網上に乗せたフグヒレを下から炙れば、なんともかぐわしい香りが立ち込め、酒好きにはたまりません!炙ったヒレは、ちろりなどにいれて温めておいたアツアツの日本酒にイン!ヒレの香ばしさやうまみがお酒と混ざりあって、大人に似合う冬の味わいの完成です。
ヒレに含まれるうまみが溶けだす温度は70度以上といわれています。日本酒は、ヒレを浸す直前まで熱しておくのがベスト
使用する日本酒は、ヒレのうまみとケンカをしないものを選ぶとおいしさアップ。前述の鍋と合わせた「米だけの酒」なら、うまみと香りに癖がなく、温めても味が崩れないのでヒレ酒にぴったりです。
一度使用したヒレは、ある程度うまみが溶けだしたタイミングで引き揚げておけば2杯目も活用可能なので、とっておくのが吉。長く楽しんでいるうちに、体の芯から温まっていることでしょう。
変化球アイデアで心までポカポカに
食事とお酒が進めば、次に欲しくなるのは甘いもの。日本酒を味わい尽くす2つめの方法は、スイーツ的に日本酒を楽しむという変化球アイデア。
田代さんが取り出したのは、マシュマロ。焦げ目がつくまで炙って食べるのかと思いきや…シェラカップの底が隠れるくらいまで豪快に入れて、そこにアツアツの日本酒を注入!
マシュマロがとろとろに溶けて、ホイップクリーム状に!
みるみるうちにマシュマロが溶けて、最高のデザート酒、マシュマロ酒が完成しました。さらにアレンジとして粉末のコーヒーやココア、キャラメルマキアートを溶かすのも美味!
粉末のコーヒーを溶かすと、まるで日本酒版カルーアミルクのような味わいに!ほろ苦あまくて、デザート酒にピッタリです
使用する日本酒は、甘いマシュマロと同じ甘口のものがおすすめ。とくに、きめ細やかでコクのある味わいの「沢の鶴 特別純米酒 山田錦」は濃厚なスイーツ感が出るとあって田代さんイチ押しの銘柄です。
冬キャンプをエンターテインメントに!今回使用した日本酒はこちら
少しのアイデアで、温かく、ちょっと楽しく過ごせる冬キャンプ。今回、日本酒ソムリエの田代さんが持ってきてくれた、キャンプにフィットする日本酒はこちらです。
お米にもこだわる純米酒「米だけの酒」。うまみと甘み、酸味のバランスが絶妙な日本酒
【基本情報】
商品名:米だけの酒
種類:純米酒
アルコール度数:14.5度
価格:845円(税込)
沢の鶴史上最も飲みやすい「SHUSHU Light」。甘口だけどスッキリ飲めるライトな日本酒
【基本情報】
商品名:SHUSHU Light
種類:純米酒
アルコール度数:8.5度
価格:330円(税込)
山田錦特有のきめ細やかでコクのある味わい「特別純米酒 山田錦」。濃厚な口当たりでキャラ立ち抜群な日本酒
【基本情報】
商品名:特別純米酒 山田錦
種類:特別純米酒
アルコール度数:13.5度
価格:975円(税込)
ちょっとのアイデアで、快適に冬キャンプを楽しもう!
今回紹介したアイデアはすべて、簡単にできるものばかり。防寒対策をしっかりしつつ、体の中からあったまる日本酒を主役に、冬ならではのキャンプを堪能してみてはいかがでしょうか。
日本酒ソムリエが教える「最高の日本酒体験」をキャンパーが実践。秋キャンプでうまい酒を飲むには?
野山の木々が色づきはじめ、いよいよ本格的な秋到来です。お酒好きな人なら、季節に合わせたおいしいお酒を飲みたいもの。夏に外で飲むキンキンに冷えたお酒のように、秋ならではの至高のキャンプ酒もきっとあるはず。そこで注目したいのは日本酒。落ち着いた雰囲気の中、景色や焚き火を楽しみながらの晩酌ができたら最高です。日本酒のプロである日本酒ソムリエに取材をし、秋の日本酒キャンプを最大限に楽しむ方法を提案してもらいました。