今買いたい「難燃アウター」基本のき。寒さにも焚き火にも強いおしゃれなぬくぬくウェアを探せ!
冬こそ一年を通して焚き火の魅力を最も感じられるシーズン。シンと冷たく張りつめた空気のなかで炎の暖かさを感じる時間は、こたつでアイスを食べるような、何とも言えない幸福感があります。しかし、そんな至福の時間に水を差すのが、舞い上がる「火の粉」。お気に入りの洋服に穴があかないかハラハラしたままでは、焚き火の世界に入り込めません。防寒は絶対条件として、冬前に買うべき「おしゃれ」かつ「火の粉に強い」最強アウターを紹介します。
やりすぎることはない、冬キャンプの防寒対策
極暖アウターで武装しても、焚き火は絶やせない
12月~2月にかけての真冬にキャンプに行くなら、大前提となるのが十分な…いや、十分"すぎる"寒さ対策です。発熱系インナーを重ね着した上にフリースを着込み、さらに外側にダウンやシェルジャケットを重ねても寒い時は寒いもの。だからこそ焚き火の温かさが身に染みます。
天敵の「火の粉」。気付かずまったりしているうちに、いつの間にか服が穴だらけ…!?
世界広しといえども、火に勝る暖房器具はありません。一度火をおこしてしまえば、お手洗いにも極力行きたくないほど焚き火のそばを離れたくなくなります。
しかし、やっかいなのが火の粉の存在。奴らはどんなに気をつけていても飛んできます。「焚き火のニオイがついちゃうけど、寒いから一番あったかいアウターを…」と、高いダウンを着ていてもお構いなし。ニオイどころか、気づかないうちに火の粉が飛んできて、翌朝穴だらけになったダウンの成れの果てを見つめて切なくなる…というのは初心者によくある失敗です。
▼キャンプで着る服の選び方を知りたい方はこちらの記事もチェック!
「焚き火に負けない」アウターってどんなもの?
ポリエステルをはじめ、化学繊維は強度はあるが火には弱い
シワになりにくく、速乾・耐久性があるためアウトドアウェアにもよく使われる化学繊維の一種、ポリエステル。ダウンジャケットの表地やフリースとしても使われることの多い素材ですが、強度に優れる一方で、石油が原料のため、火に弱いという特徴があります。火の粉があたるとすぐに溶けてしまうため、焚き火のそばで着るには向かない素材。
コットンやウール、難燃加工の施されているものは燃え広がりにくい
綿花から作られる天然素材のコットンは、肌触りや通気性が良く、幅広いアパレル製品に採用されています。燃えるとポリエステルのように溶けるのではなく炭化するので、火の粉が飛んできても「穴が開いて燃え広がっていく」ような事態にはそうそうなりません。
羊の毛から作られるウールも同様。もともと繊維内に窒素や水分が含まれているため燃えにくい素材です。そのうえ、たとえ燃えても炭化するので、穴開きしづらいというのが特徴。
火に強いコットンとウールですが、どちらも化学繊維と比べると重さがあるため、人によっては着心地を窮屈に感じてしまうことも。最近では化学繊維でも、焚き火のそばで着ることを想定し、生地表面に難燃加工が施されているものが続々と出てきています。
しかし注意すべきは、「あくまで燃えにくい、穴があきにくい素材」というだけであること。「燃えない」わけではないので、火の粉が飛んできたら手でサッと払うようにしましょう。
見た目も機能も満点!1着買えば長く使える、難燃アウターカタログ
2021年の新作をメインに「火に強く、あたたかい」アウターを厳選!
難燃アウターの必要性は何となく実感できても、結局、服を選ぶ際は見た目や着心地が重要です。「好みの洋服が、結果的に難燃素材でキャンプ向きだった」というのが理想。
そこで今回は、「火に強い」「ちゃんとあたたかい」「おしゃれ」の3つを絶対条件に、冬キャンプで着たいアウターを厳選。タイプ別に紹介します。
防寒具の絶対王者、ダウンジャケット
都会的なデザインに定評のあるアパレルブランドF/CE.と、いわずと知れた国内屈指のダウンファクトリーNANGA(ナンガ)との別注シリーズの一着です。狩猟用のハンティングコートをモチーフにしたデザインで、チェアに座っていても腰まわりをすっぽり覆う丈感。裏地のオレンジが華やかです。
表地はポリエステルに難燃加工を施し、焼き焦げにくく、摩耗による破れ・引き裂きに強い特性があります。ナンガが誇る高い技術で一つ一つ見極めた高品質の羽毛をたっぷりと封入。今っぽいオーバーサイズで、インナーを着込んでも窮屈になりません。
清潔感のある白シャツを合わせることで、野暮ったく見えず、スマートに着こなせます。
表地に難燃性素材を混紡したリップストップポリエステルを採用。化繊の軽さと引き裂き強度を生かしつつ、火の粉に弱いデメリットをカバーした高機能なダウンジャケットです。
フルジップのダウンジャケットはどうしてもジップ部分から冷気が入ってきやすいですが、こちらは頭からがぼっとかぶるプルオーバータイプなので、より暖かく過ごせます。
スノーピークのアパレル商品のなかでも、難燃性素材を使ったシリーズを総称して「タキビスペック」と呼びます。今回紹介したアノラックパーカーは、タキビスペックの中でも難燃、防水、防風の三拍子が揃う「ファイヤーレジスタンス 2Lダウン」シリーズのひとつ。
難燃素材を混紡した生地の裏側に透湿防水膜が貼り付けられ、雨に濡れても結露ができにくい構造。中綿は濡れても保温力が落ちにくい800FP(フィルパワー)の撥水ダウンを使用しています。
保温性はピカイチ!フリースアウター
「フリース」という言葉はもともと、羊一頭から刈り取ったひとつながりの羊毛のことを指しました。そこから派生して、今ではモコモコと起毛した生地が「フリース」と呼ばれます。起毛している分、生地表面に空気の層ができるので、軽くて保温性が高いのが魅力。
[写真左]
「より遠くへ、より速く」をコンセプトにしたイギリス発のブランド、モンテインのフリースプルオーバー。日本ではまだまだ知られていませんが、軽量で高機能、かつデザインも妥協しないものづくり精神が人気のブランドです。こちらのプルオーバーは耐風性に優れた厚めの生地感で、内部の暖かさを外に逃しません。
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オレゴニアンキャンパー独自の燃えないフリース「難燃マイヤー」を使用。昔ながらの"はんてん"に似た、身幅も袖幅も太めのシルエット。アウターの上からもバサッと羽織れます。袖丈は女性でも手首が出るぐらいの39cm。フードがあるので首まわりも暖かく、キャンプに一着あると頼れる存在。
ダウンの「中」も難燃に。使い勝手のいいベスト
太い糸を密に織り込んだ、「ダック」と呼ばれる丈夫なコットン生地のベスト。ダック素材は古くからテントや船の帆布に使われており、抜群のタフさを誇ります。コットンなので火に強く、生地の密度が高いため、風を通しにくいのが特徴です。袖がなくても十分暖かいので、薪割りや食事作りで何かと動き回るキャンプにはまさに最適。
[写真左]
前身頃から後ろ身頃までウェビングベルトがグルっと一周。ペグやハンマーをぶら下げておくと便利です。胸部分にはSOTOのガストーチ専用ポケットとサングラスホルダーが付属。キャンプ中に必要な小物を全て身に着けておけるほど、収納力に優れています。ちなみに、腰のポケットは350ml缶がすっぽり収まるサイズ。お酒を飲みながら、手ぶらでのんびり焚き火を眺めていられます。
[写真中央]
一見普通のベストに見えますが、前身頃の内側についた留め具を外すと生地が「延長」してエプロンに早変わり。服を汚したくない調理や設営などの作業時はもちろん、焚き火を囲む際は足も保護できます。脇のジップを開ければ身幅が調整可能。
[写真右]
糸染めから織布まで日本製にこだわった、14オンスの厚手デニム素材を使用。フロントとバック、どちらにも大容量のポケットを備えた「着るバッグ」とも言える一着です。キャンプでの使い勝手のよさはもちろん、街着としても普段のトップスの上に重ねるだけで一気に垢抜けます。
キャンプにも登山にもOK!マウンテンパーカー
耐久性のあるコーデュラナイロンと、難燃性を持つアクリル素材の混紡生地を使用。火の粉がつくと微量のガスが発生し、燃焼部分を一時的に無酸素状態に。そうすることで瞬時に消火するという、テクノロジーの詰まった新世代の難燃ウェアです。
柔らかな風合いは天然素材のコットン、軽さと扱いやすさは化学繊維と、両者の良さを併せ持った一着。ザ・ノース・フェイス独自の「ジップインマグネシステム」対応モデルで、内側についたマグネットを使って、別売りのインナーを接続できます。
上半身をすっぽりおおうポンチョタイプ
従来のコットンと比べて約5倍の強度を持った、グリップスワニーが誇るオリジナルの難燃生地「ブレイズシールド」を使用。「難燃ウェア」と聞いて真っ先に思い浮かべる人も多い、超定番アイテムです。袖口のボタンを外せば、ボリュームのあるダウンやフリースの上からでもてるてる坊主のようにかぶれます。
胸には大型のポケットがあり、スマホやちょっとした小物が収納可能。
まわりと差をつけるなら、デニム素材のアノラックパーカー
オリジナルの難燃デニム素材「フレームプルーフ」を使った、キャンプに最適なアノラックパーカー。デニムらしいタフさは備えていますが、柔らかい生地感なので、着た時にデニム特有のゴワゴワ感がありません。フロントには大きなポケットが左右2つずつ配置され、グローブなどがすっぽり入ります。オーバーサイズなので、ポンチョ感覚でさっと羽織れるのもうれしいポイント。
もうコーディネートに迷わない!セットアップをマネキン買いもアリ!
麻とオーガニックコットンを使った難燃素材「ヘンプ ファイヤープルーフ」に、さらに難燃加工を施したジャケットとパンツ。セットで着るだけでこなれて見えるので、上下の組み合わせにあれこれ悩むことはありません。日本に古くから伝わる染め技法「硫化染(りゅうかぞめ)」で染色された生地は、使い込むほどに味わい深くなります。自宅で50回ほど洗濯しても難燃性を保つため、普段着としてガシガシ着られる気楽さも魅力。
ジャケット、パンツともにエプロンが付属しており、スナップボタンで好きな位置に留められます。
頼れるアウターをお供に、焚き火を存分に味わおう
冬キャンプの醍醐味とも言える焚き火。そばに座って炎を眺めながら、身体がじんわりと温まっていくのを感じる時間はまさに至福です。しかし、キャンプに行くたびに服を一着ダメにするわけにはいきません。ここで見つけたお気に入りの難燃アウターを携え、火の粉を気にすることなく、冬キャンプの楽しみに浸ってみてはいかがでしょうか。