【武山店長の辛口ジャッジ!vol.5】差がわかりにくい真空ステンレスボトルをズバッとジャッジ!
人気連載復活!累計で第5回目となる今回は、キャンプはもちろんあらゆるアウトドアシーンで活躍する「真空ステンレスボトル」を比較!キャンプマスターであるエルブレス名古屋みなと店の武山店長に、詳しく教えていただきました!比較が難しそうな2つのアイテムを、独自の目線で、包み隠さずズバッとジャッジ!
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キャンプ・アウトドアWebマガジン「hinata」編集部。年間に制作・編集する記事は600以上。著書に『ひなたごはん』(扶桑社ムック)など。
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連載復活「武山店長の辛口ジャッジ!」
キャンプギアの疑問にズバリ答える「武山店長の辛口ジャッジ」の第5弾!どっちつかずな紹介をされがちなキャンプギアを、キャンプマスターである名古屋みなと店店長 武山さんが本当におすすめのギアをズバリ教えます。
読者のみなさまのご希望に応えて大復活!キャンプにチャレンジしたい!でもどのアイテムを買えばいいかわからない...。と悩んでいるキャンパーさん必見です。
今回のテーマは「真空ステンレスボトル」
真空ステンレスボトルの特徴
真空ステンレスボトルは、魔法瓶という呼ばれ方の方がピンとくる人が多いのではないでしょうか。内部が2重構造になっており、外部環境の温度変化を受けづらいのが特徴です。そのため、保温時間や保冷時間も長く、寒い時期も暑い時期も大活躍。また、頑丈で長く使用でき、結露しにくい点も人気です。通常の水筒と比べると、性能が良い分、価格帯も高いので、慎重に選びたいところですね。
真空ステンレスボトルは何を基準に選べば良い...?
選び方は、シチュエーションや人数によってよって異なります。例えば、容量。キャンプやピクニックでの使用では、使用する水の量が違いますよね。キャンプでも、ソロとファミリーでも全然違います。せっかくお湯を沸かして保温しようと思っても、必要な容量がないと、何度もお湯を沸かしたりと手間が増えてしまいます。
今回は肌寒い時期のキャンプシーンにフォーカスして真空ステンレスボトルを比較。表示カタログやスペックだけでは分かりづらい真空ステンレスボトルを比較し、辛口ジャッジしてもらいました。
スタンレーとサーモスを大比較
王者「スタンレー クラシック真空ボトル」vs 新星「サーモス ステンレスキング」
真空ステンレスボトルとして比較するのがこちら。キャンプシーンでの定番「スタンレー クラシック真空ボトル」と、洗練された見た目で日本での発売が期待されていた「サーモス ステンレスキング」。
スタンレーの「クラシック真空ボトル」は、もはやブランドの顔になっているアイテムです。武骨なデザインと昔ながらのハンマートーングリーンが映えるクラシック真空ボトル最大の特徴は、保温性。圧倒的な保温性で、お湯が24時間経過しても60度以上をキープしてくれます。
【基本情報】
- サイズ:直径98×114×360(h)mm
- 容量:1.0L
- 重量:840g
対して、サーモスの「ステンレスキング」は、2019年春に日本上陸予定の真空ステンレスボトルです。名古屋みなと店では先行発売されており、武山店長イチオシの新アイテムです。特筆すべきはスタイリッシュかつ高級感のある見た目で、昔ながらのスタイルをもつスタンレーとは一線を画しています。
【基本情報】
- サイズ:直径105×90×315(h)mm
- 容量:1.2L
- 重量:700g
武山店長の辛口ジャッジ!!
━━━ 武山さん、お久しぶりです!またよろしくお願いします!今回はぜひ比較してみたいアイテムがあると聞いたのですが?
武山:お久しぶりです。そうなんです!今回はこの真空ステンレスボトルを比較します!
━━━ なかなか比較が難しそうなアイテム...
武山:比較が難しいからこそ、気になりませんか?しかも、どんなアウトドアシーンでも使え、なおかつ高機能となると決定打がどこになるのかがポイントです。今回は、鉄板アイテムの「スタンレークラシック真空ボトル」と待望の日本上陸を果たした「サーモス ステンレスキング」を比較しながら、真空ステンレスボトルを選ぶ時のポイントをご紹介しましょう。
比較ポイント1. 表面の質感
武山:まずは、デザイン・見た目です。スタンレーは昔ながらのスタイルの保ち続けているいわば王道です。表面に頑丈な鋼鉄を採用することで、スタンレーにしかないスタイルを保ち続けています。
━━━たしかにこの質感だとステンレスを感じにくい。男性だけでなく、女性も使えそうなデザインですよね。
武山:このスタンレーが似合うキャンプサイトを作れる人は、すでにキャンプ上級者です。
武山:一方サーモスのステンレスキングは、名前も見た目もステンレス!スタンレーより一回り小さくスタイリッシュな見た目です。どちらものボトルも2色展開ですが、海外で販売されているステンレスキングはカラーバリエーションが豊富なので、今後に期待が持てます。
━━━タイプが全く違うので、どちらが好きかはかなり好みが分かれそう
武山:見た目に関して難点があるとしたら、ステンレスなので指紋が付いたり写真写りが悪いことぐらいです。
━━━確かに写真をとるのは難しそうですね(笑)。
比較ポイント2. 最後の一口の温かさ
武山:真空ステンレスボトルの表記には、〇〇時間まで〇〇℃のような表記があります。なんとなく性能がいいことはわかりますが、実際に試したことのある人ってあまり聞いたことがありません。高機能モデル同士、どちらの保温力が上か実験をしたいと思います!
武山:すでに沸騰したお湯(600cc)を、両方のボトルに入れてあります。キャンプでの使用を想定して睡眠時間と同じ8時間後の温度が、どれほどのものなのか温度計で測ってみましょう。
━━━ 武山店長、準備万端ですね!
武山:そうでしょう!まずは真空ステンレスボトルの横綱、スタンレーの保温力はというと...
武山:71℃!なかなかの記録ではないですか。飲み物は60℃以下だとぬるく感じるので、これなら肌寒い朝でも温かさを楽しめます!
武山:次にサーモスのステンレスキングは...
武山:これはすごい!72℃!ほぼ変わらなかったですが、スタンレーと同等の温度を保っていることはさすがです。しかし、どちらも高性能なので、差が出にくいですね。
━━━ ということは保温力は引き分けですか?
武山:実はもう1つやっておきたいことがあるんです。専用のコップに注いだ後に、どれだけ温かさを保つことができるのか気になりませんか?どちらも200cc程度しか入らないので、注いでもすぐ飲みきってしまいます。なので、最後の一口を2分30秒後と仮定して温度を測ってみましょう。
武山:まずはスタンレーの2分30秒後は...
武山:64.8℃!最後の一口でも温かさを保てそう!ではサーモス方はどうなのか...
━━━ ステンレスキングの方が下がり幅が大きいですね!ぬるく感じ始める60℃に近づいています。
武山:61.8℃ですか、これは面白い!スタンレーの方が温度の下がり幅が少ない結果になりましたね。
武山:こうやって持ってみると、サーモスの方が熱さを感じます。注いだときにスタンレーに比べ熱が逃げやすい。寒い時期のアウトドアでは、こうしたちょっとした温度で温かさの感じ方が違うことがあります。ボトルの方は大差ありませんでしたが、スタンレーの方がコップまで丁寧なつくりになっていることが分かりますね!
比較ポイント3. 持ち運びのしやすさ
武山:次の比較ポイントは、アウトドアでの持ち運びのしやすさです。今回比較しているスタンレーは1Lで、サーモスが1.2L。単純に考えて容量の少ない方が軽そうですが、実はスタンレーの方が重いのが面白いところです。
━━━実際に測った結果は...
武山:スタンレーは820gに対してサーモスは640g。差は180gですが、サーモスの方が200cc容量が大きいので満タン時の差はたった20g。さすがにこの差はあってないようなものですね。
━━━ではあまり変化がないってことでしょうか?
武山:今回のポイントは重量ではなく、取っ手の部分が重要です。
武山:サーモスの取っ手は収納できるので見た目がスタイリッシュ。しかし、垂直に持ったときにバランスが取りづらく、指がボトルに当たってしまいます。この部分が持ち運びはもちろん、注ぐときにも取り回しがしづらいときがあります。
━━━スタイリッシュな見た目とは裏腹に取り回しに問題があるということでしょうか?
武山:比べると一目瞭然です。スタンレーを持った時の手をよく見てください!垂直に持ったときに指に当たりません。この部分が素晴らしいです。スタンレーの取っ手は下の部分が固定されるので、バランスが取りやすく、どんなシチュエーションでも取り回しが楽にできます。
━━━なるほど、取っ手のちょっとした仕掛けで取り回しに差がでているのがわかりました。
武山:持ち運びのしやすさをとるか、収納時のコンパクトさを選ぶかは難しい選択ですが、注ぎやすさという水筒には欠かせないアクションを考えるとスタンレーに分がありますね。
真空ステンレスボトル。ジャッジの結果は...
━━━ ここまで、比較ポイントについてお話を伺ってきましたが、改めてどちらの真空ステンレスボトルがおすすめなのか、辛口ジャッジをお願いします!
武山:今回はびっくりするかもしれませんよ?
武山:今回はあえて!サーモスのステンレスキングをおすすめしたいです!鉄板のスタンレーと勝るとも劣らない性能を持ちながら、このスタイルはやっぱり魅力です!無骨なスタンレーと比べ、見た目が映える新しいアイコンとして期待しています!さらにサーモスの方が価格が安いこともポイントです。
━━━武山店長、意外と新しいもの好きですからね(笑)。たしかにスタンレーと遜色ない性能で、しかも価格も安いとなると人気になりそう。
武山:キャンプ場で見る真空ステンレスボトルはほぼスタンレーが独占状態ですから、長年続いたこのマンネリ感を打破してくれるかもしれないサーモスのステンレスキングは要チェックです!
━━━ 一方のスタンレーを考えると、特筆して劣る部分はなかったような気がしますが...?
武山:もちろん、こちらも機能性は抜群。またボトル表面のマッドな加工も人気です。ただし、流行りすぎている点を気にしている人が多いのも事実です。これから真空ステンレスボトルを検討している人は、サーモスもぜひ候補にしてほしいですね。
━━━ キャンプ場でアイテム被りが気にならない人は性能の良いスタンレーがおすすめということですね!よくわかりました。今回もありがとうございました!
編集後記
次回の武山店長は!?
まだ発売前のアイテムが揃う見本市「東京インターナショナル ギフト・ショー」での武山店長に密着取材!バイヤー経験をもつ武山店長ならではの嗅覚を活かした仕入れなど、独自の視点から新アイテムの選定の様子をお届け!
店舗情報
エルブレス 名古屋みなと店
住所:愛知県名古屋市港区砂美町1-5
電話:052-665-2081
営業時間:
[平日] 11:00〜20:00
[土日祝] 10:00〜20:00
まとめ
今回は、鉄板と新作を比較し、辛口ジャッジしてもらいました。スタンレーの購入を迷っていた方は、ぜひ参考にしてください。待望の復活第一弾としてはかなり面白いアイテムの比較となりました。次回の武山店長もお楽しみに!