キャンプのクルマにUS風味を!不遇のライトSUV・マツダ「トリビュート」
200万円で最高の相棒に!4WDを身近にしてくれた日産「初代 エクストレイル」
2024.08.20ライフスタイル
主に1990〜2010年ころに発売された、「ちょっと古いけどツウならいま乗りたい」そんなキャンプな自動車をサラリと紹介する当企画。今回hinata的名車としてお届けするのは、4WD(SUV)を一気に身近な存在にしてくれた、日産「初代 エクストレイル 」です。
制作者
増田 満
国産旧型車専門誌『ハチマルヒーロー』創刊編集長、『ノスタルジックヒーロー』編集長を経て独立したフリーランスライター&編集者。
以前は頻繁にキャンプに出かけたが、コロナ禍前に山間部へ移住して自然を満喫中。現在クルマ3台、バイク4台を所有して持て余し気味。
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もくじ
「初代 エクストレイル 」って、どんなクルマ?
SUVというカテゴリーができる前までは、“4WD”といえばトヨタ ランドクルーザーや日産 サファリ、三菱 パジェロといったオフロード性能に特化したモデルたちでした。
そんな中、1990年代になるとライトな4WD車も続々と誕生します。
岩場や急傾斜などの本格オフロード走行は前提にしていないけれど、多少の雪道や林道くらいなら安心してクリアできる。そんな生活4WD的な、都会でも見栄えするSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)というジャンルが形成されていったのです。
そのようにしてSUVの定着が進む2000年に発売されたのが、日産「初代 エクストレイル」です。
たったの200万円。なのに本気で遊べるキャンプな四駆
エクストレイルのコンセプトはズバリ、「4人が快適で楽しい、200万円の使える四駆」でした。
20〜30代のアウトドアレジャーを楽しむ人をメインターゲットとし、量販グレードを格安の約200万円に設定。
さらに使い勝手の良いサイズ(全長4,445×全幅1,765×全高1,675mm ※ターボ車を除く)&4WDでありながらも燃費性能に優れていたりと、正にいいこと尽くめ。大いに売れたのにはそれだけの理由があったのでした。
タフさと実用性を両立する新感覚デザイン
優れたパッケージを包むエクステリアも先進的でした。
直線基調のすっきりしたスタイルは4WD車らしさに溢れていますが、よく見るとフロントウインドーの傾斜角が乗用車的なことにも気が付かされます。
そのうえガラスエリアが広いので車両感覚が掴みやすく、運転に不慣れな人でも安心して取り回せるのも特徴の一つでした。
それまでにない、タフさと実用性を両立さたようなデザイン。これもエクストレイルらしさを物語る部分です。
インテリアにも特徴的な仕様が施されていました。
高級車並みの大きなフロントシートでゆったりと運転が楽しめるのはもちろん、それぞれのシートには撥水加工も施されていたので、水や汚れを簡単に拭き取ることも。
さらに、奥行き1,003mmのクラストップレベルの広さが確保されたラゲッジスペースには、ウォッシャブルラゲッジボードも採用されていました。
取り外して水洗いできるので、濡れたり泥だらけになったキャンプギアもそのまま載せてOK。そんな懐の深さも、そと遊びの達人向けなクルマとも評された所以ではないでしょうか。
広い室内空間にも、使いやすさにつながる工夫が詰め込まれています。
完全フラットになるリヤシートには、荷物のサイズや量に合わせて積載スペースをアレンジしやすい分割可倒式を採用。また、リヤシート中央のアームレスト部は貫通構造とされているので、ポールなどの長尺荷物でもシートを倒すことなく積載できるのです。
乗降性に優れた面を備えているのも見逃せないところです。
例えば雪遊び用ウェアを着用していると、どうしてもクルマへの乗り降りがおっくうに感じてしまうものです。そこでサイドシルと呼ばれるドア開口部の出っ張り(敷居)を、邪魔になりにくいドアの内側に設定するという、新たな試みもなされていました。
これなら、着膨れしていたとしても、非常に楽に乗り降りできるというわけです。
誰でもアウトドアを楽しめる、優れた4WD性能
エクストレイルには前輪駆動のFF(フロントエンジン・フロントドライブ)モデルも存在しました。つまり基本構造はFFなのですが、これをベースにALL MODE 4×4と呼ばれるシステムが組み込まれています。
基本的にはFFで走行し、4輪いずれかにスリップを検知すると自動的に4輪へトルクを配分(AUTOモード時。ほかに2WDモード・LOCKモードも搭載)してくれるのです。
つまり、クルマが路面状況に適した走行モードを選んでくれるので、難しいテクニックなど覚えなくても気兼ねなくアウトドアフィールドに出かけられるというわけなのです。
搭載エンジンは基本的に2Lの4気筒DOHCの1種類だけとされていましたが、自然吸気モデルでも最高出力150ps・最大トルク20.4kgmを発生するので、4WDとしては軽量な1,400kg前後の車両重量に対して十分な走行性能を備えていたことになります。
ちなみにターボモデル(GTグレード)の場合は、GT-Rなどと同じ280psの最高出力になるので、かっ飛び系な人も満足いく走りが楽しめたはずです。
意外と手に入れやすいかも。その際のチェックポイントは?
キャンパーにも人気の一台ですが、2024年7月時点での中古車市場をチェックしてみると、走行距離が10万kmに達していない低走行車でも70万円以下で見つけられます。
これは非常にお買い得。コストパフォーマンスに優れるクルマだと思いませんか?
ただし中古車を選ぶ際は、インテリアの状態をチェックするのもお忘れなく。
アウトドアに適したラゲッジや撥水加工シートが採用されていることもあって、車内に汚れや傷が多い場合も少なくありません。
また、20年以上前の個体もあるわけですから、塗装が劣化していないかチェックするのも必須です。
とはいえ、走行性能には問題がないため再塗装されている中古車も多いのでご安心を。中にはアウトドアシーンにマッチするマットカラーやアースカラーなどに塗り替えられていることもあるので、キャンパーならそれらを選ぶのも楽しいかもしれません。
求めやすい価格帯と扱いやすいサイズ、信頼できる4WD性能など、唯一無二の個性をもつ初代 エクストレイル。
アウトドア遊びが好きだけれど運転には自信がない、初めてのマイカー選びだけどこだわりたい、なんていう人にも安心して楽しめるクルマなので、キャンプの相棒候補に入れてみてはいかがでしょうか。
【基本情報】
2000年・日産 エクストレイルX(4速AT)
- 全長×全幅×全高:4,445×1,765×1,675mm
- 車両重量:1,340kg
- エンジン種類:直列4気筒DOHC
- 排気量:1,998cc
- 最高出力:150ps/6,000rpm
- 最大トルク:20.4kgm/4,000rpm
- 発売当時価格:205万円
次回は、“ドライビング・エンタテインメントSUV”として新しい価値を提供したマツダ「トリビュート」の魅力をお届けする予定です。キャンプの相棒を探している人はお見逃しなく!
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