成功のカギは「釣った魚をすぐ食べるな!」。じゅんいちダビッドソンが「釣り×ソロキャンプ」の魅力を大いに語る【キャンプ×釣り2時間】
「釣りキャンプ」を成功させるコツやスポットを案内する連載企画「キャンプ×釣り2時間」。今回は、キャンプのYouTubeチャンネルが人気のお笑い芸人、じゅんいちダビッドソンさんが案内します。キャンプでは忘れ物の多さや要領の悪さに、妻から「下手キャン」と言われてはいますが、小学生で始めた釣りは相当な腕前というウワサ。その実力を発揮してもらうべく、「じゅんダビ流」の釣りキャンプを見せてもらいました!
釣りキャンプ案内人はじゅんいちダビッドソンさん
▲キャンプ地から意気揚々と釣りに向かうじゅんいちさん
「R-1ぐらんぷり」で笑いを極めたじゅんいちさんですが、実はキャンプ界でも頂点に近づきつつあります。YouTubeチャンネル「ちゃんねるダビッドソン」の登録者数は今や約16万人。日本のキャンプ人気をけん引しています。実は子どものときからの釣り好きで、その実力はキャンプ以上という噂も!?そこで実際に、釣りをしてもらいながら、一緒にキャンプを同時に楽しむコツを教えてもらいました。
釣りキャンプの聖地、茨城へ
▲大洗ではおなじみのアンコウを手にするじゅんいちさん
じゅんいちさんが釣りキャンプの撮影でやってきたのは、茨城の太平洋沿いにある大洗。キャンプだけでなく、釣りという結果が求められるのがいつものYouTubeとは違うキャンプです。今回はメバルを中心にしながら、あわよくばシーバスやヒラメなどもルアーで狙う算段。そして釣り場のそばのキャンプ場でゆったりというプランです。
つや消しグレーの愛車パジェロミニで、さっそうと現れたじゅんいちさん。自信満々にロッドを持って海岸に降り立とうとしましたが…。
じゅんいちダビッドソン(以下、じゅんいち):これ、アカンやん…。
▲普段は穏やかな海なのだが…。芸人的にはおいしさを隠しきれない!?
天気は曇り気味だったものの、視線の先には、白波を上げ、荒れ狂う太平洋。本州を離れてから太平洋上で発達した低気圧の影響で、地元の人も「こんなの数年に1度あるかないか。台風のときでもこんなことはない」と言うほど。サーファーも見当たらないどころか、悪天候に強い大洗発着のフェリーも欠航していました。
じゅんいち:とりあえずはもうちょっと穏やかになるまで、キャンプ場にチェックインして過ごしましょう。茨城は日本で一番キャンプ場が多い県。海や湖、川と、釣りのフィールドに近い場所でキャンプができるのがいいですね。持ってるわ〜、オレ(笑)。
茨城には釣りとキャンプが楽しめる場所の宝庫
▲波のない場所に移動してシーバスを狙おうとするが…
大洗沖は、冷たい親潮と暖かい黒潮がぶつかる「潮目」。 そのため、大洗沖には双方の海流に生息する魚介類がとれるのが特徴。じゅんいちさんによると、大洗近辺では、新鮮な海産物が購入できる大洗海鮮市場(大洗町)が有名ですが、より地元色の強い那珂湊おさかな市場(ひたちなか市)も人気とのこと。
じゅんいち:(湿地の保全の国際条約ラムサール条約に登録されている)涸沼(ひぬま)湖畔のキャンプ場や、海沿いキャンプ場の聖地「
大洗キャンプ場」など、周辺は釣りや観光スポットに近いキャンプ場も豊富。釣り的には厳しい戦いになりそうですが、スーパーや市場がそばにありながらも、都会にはない自然がキャンプで楽しめるのが、このへんの良さですね。
釣りキャンプ初心者の落とし穴とは?
じゅんいち:茨城といえば、あんこう鍋。市場には鍋のセットがあったので、これにネギと豆腐をたして煮込むだけで、楽しめます。あとは普通に、キャンプでご当地の魚の刺し身を市場やスーパーで買うのも、さばく必要もなくて確実に食べられていいですよ。釣れないときも、確実ですしね。
そう言いながら、地元スーパー「ヨークベニマル」に寄り、普通に買い物をしていく、じゅんいちさん。刺し身も買っていて、釣りはもうあきらめたのか、はたまた釣った魚を食べる気はないのか…。
じゅんいち:釣った魚をキャンプで食べようとするのもいいんですけど…。
キャンプのときの刺し身は地元スーパーで!?
▲釣りキャンプについて、笑いぬきで、まじめに語るじゅんいちさん。その姿は、誇張なく、本当のキャンパー
本田選手をはじめとした数々の有名サッカー選手と食事をし、食通でもあるじゅんいちさん。「釣った魚はキャンプで食べるな」を主張する一人。その理由を熱く語りだします。
じゅんいち:たしかに、渓流釣りでは、ヤマメを焼いたり、イワナを骨酒にしたりするのがたまらないですよ。でも、海の魚の場合はちゃんと魚を締めてクーラーで持ち帰り、少し寝かしたぐらいのほうがおいしいんですよ。
整った環境でさばく派
理想的には、クーラーはビールや食材を冷やすためのキャンプ用と、魚を保存しておく釣り用の使い分けをおすすめするじゅんいちさん。
じゅんいち:いい魚が釣れたときほど、持って帰るべきです!それに、自宅のほうが圧倒的にさばく環境がととのっていますからね。数年前にいいサイズのキジハタが釣れたときには、後輩の魚屋に持っていって、わざわざさばいてもらったぐらいです。限られた水場でさばくなんて、もったいない!
キャンプの食費は1,800円で十分
▲編集部の時短テクニックのリクエストに、「シャッタースピードを遅くしてブラせば、設営が早そう!」
じゅんいちさんはそもそも、普段のキャンプでも、かなりの「脱力」を心がけている。
じゅんいち:昔はソロで15,000円分の食材や飲み物を買っていたこともありますよ(笑)。今はコンビニだけのこともあります。この間も1,800円ぐらいでした。カップヌードルに、つまみの缶詰とお酒があれば十分です。焚き火しながら1人で外に泊まる楽しみがあるわけですから、それでも自分にとっては、ぜいたくなんです。
じゅんいちがまじめに語る釣りとキャンプ
撮れ高が不安になってきたhinata編集部。釣れなかったときのために、内容ももう少しほしい…。そこで、キャンプ場で海が静まることを期待しながら、じゅんいちさんに釣りとキャンプの魅力について聞きました!
雨降る中でのヒロシさんとのキャンプ
──じゅんいちさんは、もともと休日のたびに釣りに行っていたアングラーですよね。キャンプはどうしてはまったのですか。
じゅんいち:営業で一緒になることが多かったヒロシさんとバイキング西村さんに誘われたのがきっかけです。この2人はいつも楽屋でキャンプの話ばかりしてたんですよね。当然自分も誘われるわけですが、休みは釣りがあるので2年ぐらいは断っていました。それが、たまたま予定があいていたときがあって、道具を借りてキャンプをしたんですよ。
▲波が比較的おだやかな河口でなんとかヒラメを狙おうとするが…。濁りがひどい
──そんなに強烈な体験だったのですね。
じゅんいち:雨が降ってはいたのですが、タープの下で雨音と焚き火を楽しみながら、めっちゃいい雰囲気でした。仲のいい人たちと自然の中で飲む酒の旨さに気づいたんですよね。そこから、どっぷりキャンプにはまりました。
ちなみに、カブスカウト(小学3年〜5年を対象にしたボーイスカウト部門)にもいたことがあって、そのときからキャンプはしていましたね。おかげさまで、今は仕事の9割がアウトドア。舞台に立つより、多くなっています(笑)。道具がいろいろと買えるようになったので、子どものときにやりたかったことを、そのまんまやっている感じですね。
釣りは兵庫・武庫川仕込み
──そもそも、じゅんいちさんはいつごろから釣りを楽しむようになったのでしょうか。
じゅんいち:兵庫にいた小学生のころから釣りはしていました。武庫川でフナ、河口ではセイゴなど釣っていましたね。大人になってからはちょっと遠ざかった時期もあったのですが、コールセンターのバイト仲間だった(お笑いコンビ・元Wコロンの)木曽さんちゅうさんと行ったことをきっかけに、釣り熱が高まり、休みのたびに釣りに行くようになりました。
あれ、そういえば、あの最初のときも、茨城まで行って釣れなくて、銚子とかで魚買って帰ったような…。
釣りとキャンプを合わせる魅力とは?
──コアな釣り好きのじゅんいちさんですが、キャンプと組み合わせる魅力とは何でしょうか。
じゅんいち:釣りだと、その日に帰ることが多いので、すぐには飲めませんよね。キャンプを取り入れることで、釣りの達成感を味わいながらすぐにお酒が飲めるのは最高です。でも、釣りを一緒にやるなら、キャンプは楽な方法でやることをおすすめします。
釣りとキャンプは「8:2」
▲コッヘルでつくったあんこう鍋。刺し身はじゅんいちさんのキャンプで重宝するファーストフード。調理時間は10分弱!
───釣りキャンプでは、キャンプを全力でやりすぎると大変になるという点で、皆さんの意見は共通しています。今回はキャンプの合間に釣り2時間がテーマですけど、釣り好きなじゅんいちさんのスタイルを教えてください。
じゅんいち:釣りがメインの人なら、釣り8割、キャンプ2割ですね。キャンプの醍醐味は焚き火でもありますが、火をつけるまで時間もかかるので、料理はシングルバーナーなどで簡潔にやりましょう。キャンプ7割では、さすがに忙しくなりすぎてしまいます。もちろん、キャンプ好きで釣りもやってみたい人なら、この逆、キャンプ8割、釣り2割でもかまいません。
これからも自己満の「じゅんダビキャンプ」
──今後はどのような釣りキャンプを目指したいですか。
じゅんいち:シーカヤックでのルアー釣りで、夜は立て掛けたカヤックの下で寝たいですね。ブッシュクラフトまではちょっと面倒かな。あとは、ソロの軽いギアを選んでも、結局クルマで行くことがほとんどなので、デカいギアが楽しくなってきそうです。そんな自己満足にひたりながら、映えも気にしないで無理なく楽しむ「じゅんだびキャンプ」を、みなさんにも楽しんでほしいですね!
果たして本当に釣れたのか!?
▲釣りキャンプ連載で唯一のボウズ確定!?落胆するじゅんいちさん
キャンプ場でのインタビューの後に、再び海岸に向かってみるじゅんいちさん。なんとしても、釣らせたいhinata編集部と釣りコーディネーターの齋藤竜也氏が波の影響のないところを探すが…。いたるところで東映映画のオープニングのような景色。じゅんいちさんがぼそっとつぶやく。
じゅんいち:これ、釣れないほうが芸人的には、おもしろいんちゃう?釣れても釣れなくても、おいしいのがじゅんいちダビッドソンや!そういう意味では重宝する芸人でしょ!?
▲最後に念のため、波が避けられる港に行ってみるが…。じゅんいちさん「港は釣り禁止のところが多いから、気をつけるように!」
じゅんいちダビッドソン【プロフィール】
サッカー本田圭佑選手のモノマネで知られるお笑い芸人。ピン芸人の日本一を決める「R-1ぐらんぷり」で2015年に優勝。趣味はキャンプ、釣り、車。ヒロシさん率いるキャンプ芸人の集い「焚火会」のメンバー。キャンプをはじめ、アウトドアに興じる姿を自身のYouTube「ちゃんねるダビッドソン」で発信。チャンネル登録者数約16万人(2022年1月末時点)を誇る。1975年生まれ。兵庫県出身。
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衣装協力:DAIWA
撮影:宿利泰蔵
釣りコーディネート:斎藤竜也