マイクロサイズのサコッシュ。コブマスターの「カンクージー コインケース」がフェスで売れるワケ

2016年の終わりごろから、各アウトドア雑誌が取り上げたことで一躍トレンドとなったミニバッグ・サコッシュ。1今では、使い勝手の良いおでかけバッグとして広く定着しています。 元々は、自転車競技であるロードレースの中で使われていたサコッシュ。ワイルドシングスなどのアウトドアブランドが、補給の食料を入れて自転車を漕ぐ姿にヒントを得て、手ぶらで使えるバッグとして一般向けに製作したのが、ファッションとしてのサコッシュ始まりです。

当初はロードレース用のものと同じ胴を覆うくらいの大きさだったサコッシュも、スマートフォンや財布を収納する用途に合わせ、だんだんポーチほどのサイズが一般的になっていきました。 そんな中、2018年に小さなコインケースほどのバッグ「カンクージー コインケース」を発表したコブマスター。当時はそんな小さなサイズのサコッシュを手がけているブランドは、ほとんどありませんでした。発売後、コブマスターはキャンプフェス「森、道、市場」に初出展し、このアイテムを販売したところ、用意していた200個は即完売。そこから人気を呼び、今や数多くのアウトドアファンが愛用しています。 コブマスターは一体なぜそんな小さなサコッシュを作ったのか…。そして人気の秘密とは？この２つを探るべく、コブマスターの「マスター」である、デザイナーの斉藤正彦さんを訪ねました。

そもそもコブマスターは、1970年代に人気のあったイギリスの総合アウトドアブランド。製品は主に本国で販売されていたものの、実は製作を一部日本で行っていました。斉藤さんはそのつながりからブランドをたどり、ついに2018年、日本を拠点に再始動します。

新たにブランドを復活させ、まずは最初に手がけるアイテムを思案しました。以前も人気のあったバックパックなどを作りつつ、「何か他のブランドにはない製品を作りたい」と考えていた斉藤さん。 特に、当時のアウトドアブランドでは大きなバッグが主流だった中で、小さいバッグを作ろうと目論んでいました。自身が大のフェス好きだったことから、「フェスで使い勝手の良さそうなものを」と出した案が、ネックポーチ、コインケース、クージーです。そしてサンプルができあがった段階である事件が。注文を誤り、コインケースの上部が縫われていない状態のサンプルが送られてきてしまったのです。 しかし、そこでひらめいた斉藤さん。「このコインケース、ビール缶を入れるクージーにもなるんじゃないか…」。 コインケースとクージーが一体になった案はそのまま、さらにネックポーチからは首にかける紐を採用し、3アイテムの良いとこどりをしてできあがったのが「カンクージー コインケース」です。

カンクージー コインケースは、手がふさがりがちなフェスやキャンプで、飲み物を持ったまま、両手を空けられるアイデア商品。 フェスで人々の注目を浴びたのは、350ml缶を入れるとちょっと缶の頭が出る仕様にしたからだと推察する斉藤さん。「ビールのパッケージがちょっと出ているだけで、どんな用途で使うのか一目で分かります。見た目もかわいいしね」。

コインケースが付いているのは、フェス好きな斉藤さんならではのアイデア。「ビールをおかわりしたくなったら、クージーのカップを戻しがてら、コインケースのお金で2杯目を購入できるんです。僕はついフェスでお金を使いすぎるので『ここに入れたお金しか使わない』と決めて節約したり…(笑)」とおすすめの使い方も。

飲み物を持ち運ぶ際のポイントは、胸元の位置に固定すること。こうすることで揺れが少なく、中の飲み物がこぼれません。

他にも、紐を一番長い状態にして斜めがけの財布として使うのもおすすめ。お金やチケットなど肌身離さず持っておきたいものを入れておけます。

アメリカから取り寄せたナイロン製の布は、ビビッドなカラーもたくさん。ですが売れ筋はブラックやネイビー、ベージュとのこと。「女の子がピンクを使ってたら超かわいいのに！と思いつつ、やっぱりシックなカラーの方が使い勝手がいいんですよね」と斉藤さん。

アウトドアシーンで大活躍するコブマスターのカンクージー コインケースは、小さい体に機能と歴史の詰まったアイテム。hinataの公式セレクトショップ、hinataストアでも絶賛取り扱い中です。首から下げて、外での楽しみを拡張してください。 【基本情報】 サイズ：13.5×9cm カラー：ブラック、ネイビー、ベージュ 素材：ナイロン100% 価格：3,080円(税込) 購入はこちら：hinataストア