【独占取材】キャンパーを次々と虜にする「ベアードビール」の正体とは?
2021.02.02キャンプ料理
キャンプ場で飲むお酒を一番の楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。季節を問わず楽しめるお酒といえばビール。中でも素材本来の味や香りを強く感じられるクラフトビールは自然の中で飲むと格別です。今キャンパーの間で一番イケてると話題のクラフトビールが、2000年に沼津の小さなブルワリーで生まれた「ベアードビール」。他と一線を画す独特の魅力を、じっくり探ってきました。
制作者
hinata編集部 中西優花
編集長。出版社にて月刊メンズファッション誌の編集を経て、hinata編集部へ。外で最高のお酒を飲むために、手軽なおつまみ作りはお任せあれ。キャンプと野球観戦をメインに、好きなものは広く深く。アウトドア以外にファッション、料理、美容など多ジャンルに興味あり。
Instagram:@yukantoi
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ベアードビールは個性が薫る静岡生まれのクラフトビール
「ベアードビール」を作っているのは、アメリカ・オハイオ州出身のブライアン・ベアード、さゆり・ベアード夫妻が2000年に静岡県沼津市で立ち上げたブルワリ―(ビール醸造所)。ビールと日本の職人文化へのリスペクトが生む、個性が光った「語れる」ビールが愛されています。
キャンプをしながら飲むうちに、ハマる人続出中
伊豆の修善寺にある現在のブルワリーガーデン内にはキャンプ場「キャンプ ベアード」が併設。自然を直に感じながら、ゆったりとビールを味わえます。キャンプをしに訪れたついでに飲んで、そのおいしさに感激する人が続出中。一口飲むごとに変化する複雑な香りと味わいを楽しみながら眺める焚き火は最高です。
こだわりを知るごとにどんどん好きになる
オーナー夫妻に聞いてわかった、ベアードビールの奥深さ
一度飲んだらクセになるベアードビールの不思議な魅力を探るため、オーナー夫妻に話を聞きました。ご主人のブライアンさんはアメリカのオハイオ州出身で、アメリカの大学で日本の近代史を勉強していました。そこで日本の文化に魅了され、卒業後すぐに英語教師として来日。
実際に日本で生活するうちに「自分も職人の国・日本で職人として生きていきたい」という思いがつのり、クラフトビール作りを学ぶため妻のさゆりさんとともに渡米。身に付けた技術をもとに、豊かな自然に恵まれた静岡県の沼津に醸造所をオープンさせました。
「私が一番ひかれた日本の文化は居酒屋文化です。いろいろな料理をちょっとずつつまみながらお酒を楽しむスタイルがカジュアルでとても好きです。アメリカではレストランで食事をした後、お酒を飲むためにバーに行くというのが一般的。レストランは少し格式ばった感じがするので、食事を楽しみながらお酒を飲み、仲間とラフに会話ができる居酒屋にとても魅力を感じました。数ヵ所あるベアードビールのタップルームは、居酒屋のようにカジュアルにビールと食事を楽しめる場所にしたいと思って作りました」(ブライアンさん)。
ビールを作るうえで一番のこだわりが、最小限の加工で、素材そのものの個性を最大限まで引き出すこと。主原料のホップはペレット加工がされていない生ホップのみを使用しているほか、無濾過、自然発泡にもこだわっています。
数あるベアードビールのラインナップはどれもひとクセある複雑な味わいですが、それが最後まで飽きずに飲める魅力です。たとえば一番人気の「ライジングサン ペールエール」は、一口目に柑橘と松のような生ホップの香りが鼻いっぱいに抜け、飲み進めるごとに芳醇な香りと苦味が舌の上で調和していきます。
「誰もがおいしいと感じるように、クセを抑えて飲みやすくすることはできます。でも私が作りたいのはそれじゃありません。万人ウケしなくてもいい、自分が自信を持っておいしいと思うビールを作って、それをおいしいと思ってくれる人がいたらうれしい。おいしさのポイントは"バランス"と"複雑さ"です。調和がとれていながらも、一口ごとに違う香りや味が広がる。最初の一口でそのビールのすべてが感じられてしまったらつまらないでしょう?ベアードビールは最後の一口までずっとおいしいので、つい2杯目、3杯目に進んでしまいます(笑)」(ブライアンさん)。
味だけでなく、視覚でもビールを伝える
ベアードビールのこだわりはボトルのデザインにも詰まっています。ビールの個性を最初に伝えるのは味ではなく見た目。日本、ビール、そして自然へのリスペクトが詰まったベアードビールのストーリーを伝えるため、ラベルのアートワークやそれぞれのビールのネーミングにもこだわりが。
ラベルは浮世絵のような日本的なデザインで、描かれているモチーフもそのビールの歴史や個性を表すものが使用されています。
たとえば左の「帝国IPA」は、大英帝国(当時のイギリス)のインド統治時代に生まれたIPA(インディアペールエール)というビールスタイルの一種。ラベルのモチーフはそんな背景から「帝国」というキーワードにフォーカスし、日本がかつて帝国だった時代の日露戦争の様子を表しています。
右の「アングリーボーイ ブラウンエール」のモチーフはブライアンさん本人。「一見物静かで穏やかに見られがちですが、実は内面は苛烈な一面も持っている」というブライアンさんの性格と、「穏やかなイメージのあるブラウンエールだけど、飲むと苦味のパンチが聞いている」というこのビールの個性とをリンクさせたネーミングです。
「ビールほど個性豊かで、社交的なお酒はない」
ブライアンさんはビールの魅力を、「素材や作り方でこんなにバリエーションのあるお酒は他にない」と語ります。言葉通り、ベアードビールは定番商品でも12種類のラインナップ。季節限定の商品も加えると、その幅はいっそう広がります。
「その日、その時によって気分も違えば合わせる料理も違う。どんな瞬間にだって、ビールなら必ず飲みたいものが見つかるんです」と語る夫妻の表情からは、ビールへの飽くなき探求心と愛が伝わりました。
アウトドアとビールの相性を、改めて実感しよう
自然や日本、そしてビール…。当たり前にあるものの良さをあらためて発見する。ベアードビールとアウトドアにはそんな共通点が感じられました。これからのキャンプのメインシーズンに向けて、まずは乾杯のビールからこだわってみてはいかがでしょうか。
詳細はこちら:キャンプ ベアード
【基本情報】
営業期間:通年営業
住所:静岡県伊豆市大平1052-1
電話:0558-73-1225
料金:入場料(大人)1,000円/1区画3,500円~
チェックイン / アウト: 13:00 / 11:00