【独自取材】注目の焚き火台ブランド「ANCAM」の製作現場に大潜入!ヒットの裏にあった偶然とは?
異色のガレージブランド「sanzoku mountain」がキャンパーを魅了する理由
2022.07.12キャンプ用品
Instagramから火が着いた横浜発のガレージブランド「sanzoku mountain(サンゾクマウンテン)」。“心地よい焚き火”をコンセプトに掲げる同ブランドのオリジナルギアは、質実剛健そのもの。焚き火台やランタンハンガー、トライポッドなどは全て鉄で精製。ほぼメンテナンス不要で、錆びは経年変化として楽しむ考えです。それでいて壊れない頑丈さ。キャンパーの感性を刺激するプロダクト思想と、他の追随を許さない無骨なデザインは、どのようにして生まれたのでしょうか。
制作者
佐藤翔一
趣味はキャンプ、ドライブ、自転車、登山、釣り、エアガン、映画、読書、ゲーム。
つまり、ガレージハウスに住みたいフリーライターです。
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2人のキャンパーが自作
無いモノは作る
sanzoku mountainを立ち上げたのは、横浜市に住む渡會誠治さんとSANZOさん。2人とも建築関係の仕事をしているキャンパーです。焚き火は直火テーブルにローチェア。火を間近で見て感じるスタイルでした。ある日、焚き火をそのまま料理に使いたいと考え、三角形の五徳を自作。普段から木材や鉄を扱う2人ならでは視点でした。
改良を重ね製品化
焚き火テーブルの進化系「derutas」
derutaは建築資材L形アングルから精製した焚き火テーブル。建築技術を応用し、溶接するなどして改良を重ねました。足の長さを180mm、270mm、350mmの3パターンとし、スタッキングも可能に。さらに強度を確保するため、溶接からレーザー加工の一体型へ。こうしてderutaの進化版「derutas(デルタス)」が誕生しました。
繊細な炎に心奪われる焚き火台「mouncos」
2017年から開発に取り組んでいたのが、丸型の焚き火台「mouncos(マウンコス)」。燃える炎が目視できるように、穴開け加工を施した焚き火台です。美しく繊細な炎の線に心を奪われるデザイン。近年、直火禁止のキャンプ場が増えている中、極力直火に近い形で焚き火を楽しむために作られました。
大人数で焚き火を囲うために作られたのがLサイズの「mouncol(マウンコル)」。そしてSサイズとLサイズの中間にあたるMサイズ「mouncom(マウンコム)」を立て続けに開発。ユーザーがそれぞれの楽しみ方を写真に収め、インスタグラムをにぎわせています。
無骨なランタンハンガー「shock」
ランタンハンガーはそもそも種類が少なく、どれも上品なデザインばかりでした。「もっと無骨でビンテージ感があるものを」との思いから作られたのが「shock(ショック)」です。くの字に曲げたランタンハンガーは、ランタンが美しく見えるような設計。また、重心も計算されており、絶妙なバランスでキャンプサイトを魅せます。
sanzoku mountainリアルアドバイザーで、自身もsanzokuユーザーである、アウトドアインスタグラマーjawscj7さんは「どれも自分好みのデザインに仕上がっている。shockはランタンとの相性が抜群。吊るすハンガー自体もしっかりデザインされている。例えばderutasは焚き火台をまたぐように使って火力の調整ができるなど、sanzoku mountainのギアは使い方が自由。ユーザーのフィーリングに応える設計で一生使えるキャンプギア」と太鼓判を押しています。
職人の知識と熱意
趣味の領域を超え
渡會さんとSANZOさんは趣味の延長でギアを開発していました。ところが生産には当然、コストがかかります。改良を重ねたギアは、自身たちだけではどうすることもできず、鉄工所に依頼するようになりました。多くの時間とコストをかけており、一時は生産を止めることも考えたそうです。
最終的に2人が出した答えは「徹底的にやる」。「職人の道具に対する熱い気持ちがあった。決して、お互いの建築業をおろそかにするつもりはない。本業もsanzoku mountainも全力を尽くす」(SANZOさん)。とはいえ、当初は不安があった2人。ただ、Instagramで拡散されて多くの人が見てくれるようになり、試行錯誤を重ねた職人の知識と熱意が形になったギアの知名度は、今もなお拡大し続けています。
“火”は消えない
sanzoku mountainのギアは、ブランドHPオンラインストアと、一部のガレージストアサイトのみで販売。一つひとつを手作業で生産しているため、大規模な販売チャネルの確保は控えています。「目標とするブランドは無い。他と同じことをしないのがsanzoku mountain」とSANZOさん。現在は“食”に着目し、shockを利用した「山賊焼き」などの提案をしています。
取材を終えて
一度灯した火を消さない職人は、キャンプ場でのフィールドテストに余念がありません。現場でインスピレーションを得て、職人の技術でモノを生み出すガレージブランド、sanzoku mountain。多くのキャンパーが魅了される理由は、二人の妥協なき姿勢にありました。
公式オンラインストア:sanzoku mountain