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ゼビオ トレッキング

【山女子&達人のトレッキング入門・前編】そと遊びがもっと楽しくなる「歩き方の基礎&登りのコツ」

2024.02.29ノウハウPR

キャンプ場のある山間部には、すぐにアクセスできるトレイルも豊富!だからこそキャンプ+αの遊びを探している人には「トレッキング」がおすすめです。とはいえ、慣れていないと疲労や怪我が心配…と感じている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、トレッキングのプロと登山YouTuberの二人が、安全・快適に楽しむための「トレッキングの基礎」を教えてくれました。正しい歩き方を覚えて、そと遊びのレパートリーを増やしましょう!

トレッキングを覚えればそと遊びがもっと楽しく!

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キャンプもだんだんと慣れてきて、キャンプサイトを拠点にして遊べるアクティビティを探している人も多いのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが、豊かな自然を満喫しながら山中を歩く「トレッキング」です。 登山口がキャンプ場に近い場合も多いので、手軽にいつものキャンプにプラスアルファの楽しみを得られるというわけ。こんなキャンパーの特権を活かして、そと遊びのレパートリーを増やしてみてはいかがでしょうか。

トレッキングの基礎をムービーで!

教えてくれるのはトレッキングに精通する二人

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(左)中村さん (右)やぎちゃん
トレッキングの基礎を教えてくれるのは、アウトドアショップ「エルブレス」に勤務しながら、登山ガイドとしても活躍する中村由起さんと、YouTubeチャンネル「やまくっく・やぎちゃん」で人気の登山YouTuber・やぎちゃんの二人です。
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エルブレス スタッフ

中村由起さん

高校生のときに初めてのトレッキングを経験。エルブレスではトレッキング部門を担当し、地元福島の「うつくしま百名山」を2年間で完登する。「日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージⅡ」を取得し、国内で登山ガイドとしても活躍。

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登山YouTuber

やぎちゃん

自身のYouTubeチャンネルは登録者数9万人超え、Instagramフォロワーは3.2万人という人気登山YouTuber。トレッキング歴は12年で、山が好きすぎて長野県に移住したほど。車中泊旅をしながら山に登る「旅と山を繋げる遊び」を満喫中。

安全・快適なトレッキングは「正しい姿勢&歩き方」から

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トレッキングは雄大な景色や大自然を身近に感じられるのが魅力です。 しかしトレイルが伸びる山では、トラブルにあっても自己解決しなければならないような状況も少なくありません。だからこそ、オートキャンプ以上に、安全に楽しむための知識を身につけておく必要があるのです。 そこでここからは、疲れにくい=怪我をしにくい「正しい歩き方の三カ条」を中村さん&やぎちゃんに教えてもらいました。
【正しい歩き方三カ条】 ・基本姿勢 上半身はまっすぐが基本 ・歩幅 無理せず小さな歩幅で ・足の着地 地形に合わせて足裏全体で着地

【基本姿勢】不整地でも上半身はまっすぐをキープ!

やぎちゃん
目線は少し先に合わせて、上半身を起こすことを意識します
中村さん:不整地では、不安で足元ばかり見てしまいがちですが、猫背になりすぎず上半身を起こすと安定します。これが基本の姿勢です。 ちょっと目線を上げて10〜15m先を見ると、自然と上半身が起きやすいはずです。 中村さん:登りの傾斜がきつい場合は、やや前傾するのもおすすめです。そのとき、腰のあたりにザックの重さを感じるくらいの姿勢を保つと楽になりますよ。 やぎちゃん:たしかに、私もはじめのころは下ばかり見ていたかもしれません。上を見るようになると、景色も楽しめていいですよね。

【歩幅】小さく、細かく、無理しない!

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靴のサイズ分ほどの歩幅が理想です
中村さん:筋肉への負荷を最小限にしながら、転倒を防止するためにも、小さな歩幅で歩くのをおすすめします。慣れないうちは「歩数が増えて疲れる」という人もいますが、そのうち「たくさん進んだのに疲れていない」と実感できるはずです。 やぎちゃん:私も歩幅は意識しています!特に大きな段差がある場所では、「よいしょ」って大きく足を上げる動きがすごく疲れるんですよね。だから、複数歩に分散させられる小さな段差の場所を探すようにしています。 中村さんすごくいいと思います。無理して早く進もうとしても疲れてしまうだけ。これだとペースが長続きしませんよね。必ずしも「歩数が増える=疲れる」ではありません。大きなアクションにはカロリーを使うので、体力温存のためにも「歩幅を狭く・急がば回れ」を意識するのも効果的です。 やぎちゃん:一緒に登っている友人もそれに気付いたのか、私の後ろで同じところを踏んで歩くようになりました(笑)。

【足の着き方】地面が斜めでも、足裏全体で着地

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ソール(足裏)全体で着地しつつ、腰にしっかり体重が乗る姿勢を保ちましょう
中村さん:ソール(足裏)全体で着地することで靴の性能を最大限に引き出せます。しっかりとグリップするようになるので、安全に歩行できるようになりますよ。 中村さん:かかとから着地する歩き方だと、その瞬間の接地面が少なくなり、靴の性能を活かしきれずに疲れやすくなってしまいます。 やぎちゃん:「ソールが硬いシューズを選ぶといいよ」と言われることが多いのは、特に意識しなくても足裏全体での着地にも寄与してくれるからなんですね!たしかに、つま先での着地が多くなるような足の置き場が狭いシーンだと、すぐにふくらはぎがパンパンになる気がします。

トレッキングの「疲れない&怪我しない」歩き方

最後まで楽しむための「登りのコツ」

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登りのコツとして覚えておきたいことは、「余計な疲労を溜めない」こと。往路(登り)で疲れてしまっては、下り(復路)で体力不足になり怪我しやすくなってしまいます。 そのような残念な結果にならないためにも、下記の四カ条をしっかりインプットしておくのがおすすめです。
【登りのコツ四カ条】 ・靴紐の結び方 くるぶしから上は緩く ・ペース配分 スロースタートと細かな休憩が肝心 ・急登の進み方 ジグザグ歩行で体力温存 ・筋肉の使い方 登りはハムストリングスを意識

【靴紐の結び方】くるぶしから上は緩く、足首に自由を

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くるぶしよりも上のホックを通さずに結び、足首の自由度を確保するのがおすすめ
登り始める前にチェックしておきたいのが「靴紐の結び方」です。 ハイカットシューズの場合は、一番上まできつく靴紐で固定するのは避けるのがおすすめ。こうすることで足首の自由度を高めることができ、斜面でも自然に足裏全体での着地が可能になります。
中村さん:ハイカットのトレッキングシューズなら、靴紐を締めるときに一番上のホックを使わない、という感じですね。 やぎちゃん:これは無意識に実践できていたかも!最初に軽くキュって締めるくらいの緩さで登っていました。 中村さん:上までギチギチに締めると足首に対して壁をつくってしまうことになるので、すねに当たって痛いという人はこれが原因になっていることが多いように思います。いつも朝の出発時に締めすぎている。なんていう場合は調整してみてください。 やぎちゃん:私は靴が原因のトラブルは経験ありませんが、すねや足首にアザができている人をよく見かけます…。

【ペース配分】登り始めは「スロースタート」で

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体が温まっていないうちはスロースタートで暖気運転!
いよいよ楽しいトレッキングのスタート! でもちょっと待って。勢いに任せてハイペースで歩き始めてしまいがちですが、ちょっと我慢することも大切です。まずは体力温存のためにも控えめなペースで進むのがベター。このスロースタートには、ほかにもメリットがあるようです。
中村さん:気合いが入っていると、全力で登り始めてしまいがちですが、なるべくはじめのうちはゆっくり進むことを心がけましょう。徐々に体温も上がってくるので、ウェアの脱ぎ着をしながら一番快適な状態を探すこと。30分〜1時間は、調整をしながら歩くと良いでしょう。 1時間ほど歩いたら、5~10分の休憩をはさむというのがトレッキングの一般的なリズムです。 やぎちゃん:私はとにかく疲れたくないので、「最初から最後までずっと同じペース」が好み。登りはじめから撮影していたころは、山頂でヘトヘトになっていたことも多くて、それ以来のんびり歩くようになっています。おかげで、今では最後まで心地よく歩けるようになりました。

【急登】焦らず「ジグザグ」歩行!

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急登の場合はジグザグに進むと、負担が少なくなって体力の消耗を抑えられます
中村さん:急登では傾斜を和らげるためにジグザグに歩くのがおすすめです。傾斜が急なほど足を上げるのに力が必要でカロリー消費が大きく疲れやすくなりますよね。歩数(距離)が増えたとしても少しずつ足を運ぶほうが楽に感じるはずです。 やぎちゃん:大きく「よっこいしょ」って登るのは疲れますよね。歩幅を狭くできるところを探していると、自然にジグザグ歩行になっていることも多いです。 中村さん:ジグザグに歩けるような広さがない場合は、なるべく歩幅が狭く楽に歩けるような段差を探しながら進むのもいいかもしれません。

【筋肉の使い方】登りは「ハムストリングス」をうまく使おう

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中村さんが手を当てている部分が、大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋の3つで構成されるハムストリングス
トレッキングを最後まで楽しむためにも、登り(往路)ではハムストリングス(大腿二頭筋・半様筋・半腱様筋)をうまく活用するのがおすすめです。こうすることで下り(復路)で酷使する前もも(大腿四頭筋)の温存にもつなげられます。
中村さん:登りでは踏み出した脚で体を引き上げるようにしてしまいがち。でもこれでは、下りでも酷使する前ももの筋力を消耗してしまうことになります。 中村さん:そこで下り時の体力を温存するために、もも裏のハムストリングスを使うようにするのがおすすめです。後ろに残った脚をバネのようにし、跳ね上がるように体を持ち上げます。最初のうちは、手を当てながら歩くとハムストリングスに意識がいくはずです。 やぎちゃん:ハムストリングスを使うというのは、初めて知りました!前ももの筋力を使わないように心がけていましたが、「ヒップアップ、ヒップアップ」と思いながら進んでいたので、私が使っていたのはハムストリングスではなくお尻の筋肉だったかも…。 中村さん:下りは前ももの筋肉を酷使せざるを得ません。前ももが辛くなってくると休憩するしかないので、登りではなるべく温存したいですよね。

登りのコツは「ジグザグ」と「筋肉の使い方」!

トレッキングの基本「下りのコツ」は後編で

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今回は、登山ガイドとしても活躍する中村さんと人気YouTuberのやぎちゃんに「トレッキングの基本と登りのコツ」を教えてもらいました。 正しい知識を得ていれば、怪我やトラブルを防げるはず!後編では「下りのコツ」を教えてもらうので、合わせてチェックしてそと遊びをもっと素敵なものにしてみてください。
モデル/中村由起、やぎちゃん 撮影/松下哲也

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