極私的名作道具 people showroom. ディレクター Vol.2 山田昭一

キャンパーなら誰しも、
昔から愛用している
道具のひとつやふたつある。
どんなトレンドが押し寄せようと、
誰からもわかってもらえなかったとしても、
その道具が愛おしくたまらないのだ。
そんな、極私的な名作道具を賢人たちに
紹介してもらう連載企画。
Vol.2は、アウトドアブランドの
PR業のほか、
ブランドの
ディレクターも務める
山田昭一さんが登場です。

check it out!

SHIMANO VACILAND PRO 明らかにオーバースペック。そこに潜む“愚直さ”に惚れた。

これまで、さまざまなブランドの
クーラーボックスを使ってきました。
でも、その多くが重くて
場所を取るし、容量も少ない…。
でも、クーラーボックスって、
キャンプサイトでは
幕のつぎに目立つギアなので、
選ぶときはデザインありき。
そのどっちもとなると、
気にいるものが
本当に少なくて悩ましいんです。
そんなときに出合ったのが、
〈SHIMANO〉の最新モデル
「VACILAND PRO」。
〈SHIMANO〉といえば、
いわずとしれた釣りブランドですが、
近年はキャンプでも
活躍するギアも
手がけていて注目されています。

クーラーって、釣りで使われる
ものが
一番ハイスペックだと
いわれているんです。

タープなどを使って日陰をつくれる
キャンプサイトと違って、
カンカン照りの船上で、
魚を腐らせないように
保管しなければならないわけなので。
で、このクーラーですが、
なかに入れた氷を13日間
キープできるという、
とんでもない保冷力を誇ります。
13日間です。
あきらかにオーバースペックです(笑)。
そんな保冷力が必要なシーンって、
有事のときでもないかぎり
思いつきません。
ぼくは、ふだん〈LOGOS〉の
「氷点下パック」を
保冷剤としてよく使いますが、
キャンプのときも
その組み合わせであれば、
いつでもキンキンに
冷えたビールにありつけるんです。
真夏でも、本当にキンキンです。

キャンプブームも
一周まわって、
“こだわりすぎない”のが
格好いいという流れに。

最近は少しずつなっているように
感じられます。
僕自身が選びたいと思う
ギアやウエアも、
どちらかというと
そうしたものが多いですね。
抜け感があるものや、
気張ってないもの。
なのでアースカラー
一辺倒ではなく、
ポップなカラーも
多くなってきました。
それと洋服もそうですが、
キャンプサイトも、
“コスプレ”にならないように
気をつけたい。
頑張るところは頑張って、
手を抜くところは手を抜いて。
そのくらいが自然にいちばん
馴染むし、自分も心地いい。
なのでぼくのキャンプサイトは
だいぶ統一感がないし、
ギアも少なくて、超雑です(笑)。

それを別に狙っているわけじゃない。
ただ「楽しくキャンプをしたい」と
思ってやっていたら、
自然とそっちになっていた。
だから、〈SHIMANO〉みたいに
自分たちの背景を生かしながら、
ただただまじめに
ものづくりをしている
メーカーが好きなんです。
本当にいいと思うギアをつくったら、
13日間の保冷力に
“なっちゃった”んでしょうね。
説得力がある。
計算してやってないところも、
いいじゃないですか。
ほかと足並みを揃えたり、
長く売るためにあえて
出し惜しみしたりするんじゃなくて、
いきなり最高スペックのものを
出しちゃうっていう。
懐がデカいなって思いますよ。

Let me explain!

About SHIMANO 「VACILAND PRO」

<SHIMANO>の名品「ICEBOX」
シリーズに次ぐ最新クーラーボックス。
ボックス内の氷が13日間(312時間)
キープされる
6面真空パネル+発泡ウレタン設計。
蓋・本体の密閉性を高めるため、
パッキンの潰し量を増やし、
またそれによって
開閉に負荷がかかることを
想定してレバーを増強。
テコの原理で開閉するため、
力をかけずスムーズに開閉できる。
また、左右どちらからも
開閉できる両開き設計。
今回紹介した最上位モデル
「VACILAND PRO」のほか、
「VACILAND EL」、
「VACILAND ST」など
グレード違いでラインナップ される。

山田昭一
people showroom.ディレクター

ファッション、アウトドア業界での勤務経験を生かし、PR業務を軸として2018年に独立。2021年1月、メーカーのPRやブランディングを手がける合同会社yamayamaを設立。同年10月には同社のショールーム・people showroom.をオープンした。アウトドアの世界に踏み入れたのは学生時代。ワンゲル部に所属し、山岳免許も取得した。20代後半からはキャンプに傾倒し、現在は、公私のへだてなくつねに自然に身をおく。釣りやサーフィンなども趣味。

Illustration_Rui 
Nakamura,Text_Masahiro 
Kosaka,Edit_Keisuke Kimura